Contrary



「妃海ちゃんも、粃もできるだけ一人にならないようにね」



Tenebraeは敵か味方か……
目的どころかそれすら分からない。

どんな奴らなのかも分からない今、姫である粃や護衛対象である妃海が一人になる状況は好ましくない。

百歩譲って粃は喧嘩が出来る。
俺たちがやるなと全力で止めているだけで、その気になればそのへんの下っ端より強いだろう。

だが、妃海は違う。
どうして青嵐に来たのかは知らないが、喧嘩はできないと言っていた。

つまり、人質にでも取られたら厄介だ。



「私より妃海の方が心配ね」

「私!?」

「だって、初めて会った時も夜道をフラフラしてたでしょう?」

「うぅ……」



妃海に初めて会った時は、街の様子を見たくてふらふらと歩いていたのだとか。

俺はたまたまその場にはいなかったが、後から悠葵に聞いた。

ちなみに危機感は全くなかったらしい。

仮に暴走族なんてものがなかったとしても、夜道を女ひとりで歩いていたらよからぬ輩が目を付けるのは必至だ。



「ところで、疑問なんだけど……」

「どうしたの?粃」



粃が思い出したように言うと不思議そうに炉亜が問いかける。


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