Contrary



「仲悪いの?」

「良いか悪いかの二択なら悪いんじゃない?」

「二択なら……?」

「僕は嫌いじゃないもん。
あいつが避けてくるんだもん」



妃海の問いにそう答えた炉亜は少しだけムッとした表情をする。



「兄弟なら仲良くするべきなのに……どうしてだろうね?」

「そんなの僕が知りたいよ!」

「ろ…炉亜くん?」

「……っ、ごめん」



妃海の悪い癖。

人の踏み込んではならない部分に遠慮なく踏み入ってしまう。

“仲良くするべき”なのは妃海の価値観であって、妃海以外の人間には関係の無いこと。

そんな義務感で仲良くされても炉亜は嬉しくないだろうし、余計に関係をこじらせるだけだ。

妃海の意見は酷く正論だと思う。
……が、言っていいこととダメなことが区別できていないというのが現状だろう。

炉亜だって心の底では“仲良くありたい”と願っているのだろうから、それをわざわざ言葉にされると叫びたくなるのも仕方の無いことだ。



「まあ、炉亜とお兄さんが仲良い悪いについてはまた今度落ち着いて話そう?
今はそれ、関係ないでしょう?」


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