Contrary
前にも言ったかもしれないけど、僕達は楽しい事のためならある程度のリスクは背負うし学校は楽しい事の宝庫だと思ってるんだよね。
だから、妃海ちゃんっていう新しい環境が来て正直に言うと億劫だったけど余程のことがない限り学校には来てた。
でも、今日は史桜が学校に行きたくないと起きてすぐに言ったんだ。
小さく、嫌な予感がすると付け足して。
史桜の勘はよく当たる。
悪い予感ほど確実に。
「別に大した事じゃないよ?」
「でも行きたくないなんて珍しいじゃん」
「とってもめんどくさいことになる気がしたから」
「めんどくさいこと?」
「…………ほら、来たよ。
めんどくさいこと」
史桜がウンザリした顔をしたから教室の扉に目を向ける間、丁度教室に入ってきたところの妃海ちゃん。
あぁ……めんどくさいこと…………ね。
はじめ。
彼女は楽しいことを運んでくれると思ってた。
……違うな。
どう楽しませてくれるのか期待してた。
結果は…………期待外れ。
“例の子”だからちょっとは楽しめるかと思ったのに、ただのお節介焼きで嘲笑ってしまう程に箱入り娘。
自分の考えが正しいと思っていて、自分の正義を他人に押し付ける。
感心するくらいに身勝手な人間だ。
「「おはよー」」
「おはよう、鈴桜くん、史桜くん」
「どーしたのー?」
「浮かない顔してるねぇ?」
妃海ちゃんの表情が陰っている。