Contrary
「日直ー、号令」
「起立!」
担任のご機嫌なその声と言葉に日直であるクラスメイトが号令をかける。
担任がこの人だからか、暴走族に入っている不良にも関わらず全員が起立する。
「双子ー、立てー!」
「「やだぁー!」」
意図せずハモる僕達。
このやりとりもいつも通り。
もちろん、この後に担任が怒るのもいつも通りだった。
ただ、いつもと違うのは怒る時間が極端に短かったってこと。
「……まぁいい。
双子は無視して進めるぞ」
「…礼」
『おはようございます!』
「おー、今日も元気だなぁ」
全員が規律正しく挨拶をする。
しつこいとは思うけど仮にも不良なのにね?
「着席」
「よし、知ってると思うが転入生がいる。
仲良くしてやれよー!」
『はーい!』
いい返事ー。
一応進学校で頭もいい訳なんだし普通の学校行けばよかったのに。
どうしてここに入学して暴走族なんかに入ってるのかねぇ……。
「入れー」
担任のその声にドアの外で待ちぼうけをくらっていたであろう転入生が入ってくる。
彼女が入ってきた瞬間、教室の空気が変わった。
クラスメイトたちは彼女を見て頬を僅かに赤く染めている。
歩く度にふわりと靡く何にも染まることのない真っ直ぐで真っ黒な長い髪。
思わず魅入ってしまうだろう琥珀の瞳。
これはまた……面白そうな子が来たもんだ。