Contrary
まあ、だからといって絆と付き合っている以上、守ってもらわなければいけないという事も分かっている。
ある程度の対処ができるとはいえ、暴走族一つ潰せる力は無いからね。
「妃海、また明日ね」
「うん、送ってくれてありがとう」
ごく普通のマンションの前で車を止めて、妃海を見送る。
ちなみに運転してくれているのは、風華の中で免許を持っている子が進んでしてくれている。
車を発車させてもらいサイドミラーで後ろを見ると、マンションには入らず道を歩いている妃海の姿がうっすら確認できる。
…………全く。
あの子の住んでいるところはおそらくあそこではない。
どうでもいいけれど、絆たちに迷惑をかけるのだけはやめてほしいわね。
「粃、あんまり気にするな」
「妃海のこと?」
「あぁ」
「気にしてないわ。
ただ、あの子……危険な感じがするのよね」
「………………そうか」
「えぇ」
何が危険なのかとか、私が妃海を意図的に突き放していることとか、色々なことに対して普通は疑問を感じるはずなのに絆たちは何も聞いてこない。
「ねぇ、あれ……」
ふと、炉亜が声をあげた。
炉亜が指さした方を見ると、闇に溶け込むような四人組がいた。
よく見ないとわからない。
炉亜は周りをよく見ているから気がついたのだろう。