Contrary
「……つまんねぇ」
誰も来ない裏庭で小さく呟く。
いつもそばにいる片割れがいないだけでこれだけ違うのかと思い知らされる程に疲弊した声が出た。
それと同時にここまで依存しているのだと、現実を突きつけられている気がした。
このまま行けば戻れなくなると分かっていて僕達はただ自分たちの気持ちと向き合うことを避けてきた。
それなのに……
「たった一人の存在で壊されるとは」
夢にも思わなかった。
離れるいい機会だと思った。
でも、そんな勇気もなくてそんな覚悟もなかった。
だって“あの日”からずっと依存しあって生きてきたから。
もし、“あの人”がいたならきっと僕達に言っただろう。
“お前達の好きに生きるといい”って。
「それが難しいのに」
そう呟くと同時にカサッと芝生を踏む音が聞こえた。
「誰」
警戒しながら問いかける。
そのせいか声がいつもより少し低くなってしまったけど仕方ない。
ここに来る人なんてほとんどいないから。