Contrary
体調を崩すのなんて久しぶり。
史桜と一緒にいたら史桜まで風邪をひいてしまうということから、史桜は適当なところで泊まってくると言っていた。
響葵が看病してくれていたんだけど、買い物に行くとかで出ていった。
薬を飲んで大分楽になったから、リビングで寛いでいた。
別に理由なんてない。
強いて言うなら暇だったから……何となく史桜の部屋に入った。
史桜の部屋になんてあまり入ったことは無い。
僕の部屋より綺麗だから掃除することも無いし、双子だからといって好き勝手に入るわけでもないから。
だから。
素直に驚いた。
「時が止まってるみたい」
前に入った時はいつだったのか……
こうして考えなければいけないくらい昔なんだと思う。
「鈴桜ー!」
「響葵」
「史桜の部屋で何してるの?」
「何もしてないけど、何となく気になって……」
「バレたら怒られる……って、この部屋」
響葵もこの部屋の違和感に気がついたのか、部屋を見渡す。
滅多に驚きを顕にすることのない響葵が、目に見えて驚いている。