Contrary
響葵と炉宮には合鍵を渡している。
オートロックを解除する番号も二人は知っているからだいぶんと勝手に入ってくる。
と言っても、僕達も二人の家の合鍵を持っているしオートロック解除の仕方も知っている。
2人とも一人暮らししてるからね。
「これ、見て」
「写真?……、あの時のか。懐かしいな」
「「そうだね」」
史桜はこの写真をどんな気持ちで飾っているのだろう。
どんな気持ちで伏せているのだろう。
「割れて随分経つんだろうなぁ」
炉宮が小さく呟く。
そう。
写真立てのガラスの部分は大きくひび割れていて中の写真は随分と色褪せていた。
この写真は5人で撮った最後の写真だ。
「炉宮が中学の制服着てる時だね」
「お前らもだろうが」
「……みんな笑ってるね」
響葵の言葉に呆れたように返す炉宮。
僕は写真を見ながらそう呟いた。
この写真を片付けられない理由はなんとなく分かった。
伏せてた理由は……過去と向き合うためだろうか。
「史桜は……また1人で悩むのかな」
「「鈴桜」」
昔、僕達はそれぞれで悩んで壊れていった。
響葵たちがいなければきっと僕達は立ち直ることなんて出来なかった。
今でも立ち直ってなんかいないけど、まだマシになったんじゃないかな。