Contrary
「鈴桜、1人で悩むのはお前も同じだよ」
「……否定はしない」
「お前らさ、俺がお前らのこと見分けてるのも気がついてるもんな」
「……うん。
でも、はじめにそれに気がついたのは史桜だよ
あいつ、鋭いから」
「俺はな、今はお前らのために見分けることはしねぇけどさ。
いつか、見分けさせてくれよ。
大事な幼馴染み見抜いちゃいけねぇの、結構辛いんだからさ」
炉宮はそうやって笑う。
響葵も同じように笑った。
「2人ともありがとう」
僕も笑った。
このふたりがいて良かったと心から思いながら。
そしてしばらくして、僕の風邪も治った。
史桜は僕の風邪が治るまで家に帰ってくることはなかった。
大方、繁華街でウロウロして引っ掛けてたんだろう。
こういう所は昔から変わってない。
だから僕も史桜とは久しぶりに会う。
「たっだいまー」
「お帰り、史桜」
「鈴桜、風邪大丈夫!?」
「うん。心配かけてごめんね」
史桜は元々、こんなテンション高い子じゃない。
どちらかと言えば、低めな子だ。