Contrary
鈴桜が同じ気持ちだったのかは分からない。
双子だし片割れだと思ってるけど、それぞれに感情を持つ人間だから。
「授業は……?」
「そんなのないよー?」
「ここ、不良校だもん!」
鈴桜が話して僕が続きを話す。
この学校にいる人はそれが当たり前で、僕達は二人で一つというイメージが固定されていた。
僕達もそれでよかったし、それを望んでた。
僕から話すことはないし、鈴桜が最後まで言葉を言うこともない。
「授業のこと気にすることないし」
「校内探検行こうよ!」
「鈴桜、史桜。
担任にバレたらまた怒られるよ?」
「「あ、響葵ー!」」
「……?」
後ろから声をかけてきた幼馴染。
困ったように笑ってはいるけど、そこまで困っている訳では無い。
僕達のことを何故か第一に考えてくれる優しい幼馴染みだけど、怒らすと怖い。
天変地異でも起きそうなくらいとにかく怖いんだよね……。
「はじめまして、來田さん。
俺は埜間 響葵(のま ひびき)。
この双子の幼馴染みなんだ。よろしくね」
「あ……よろしくお願いします。」
「敬語じゃなくていいよ。同じ学年だしね」
「ねぇねぇ!」
「響葵も一緒に行こうよ!」
いいでしょ?と二人仲良く首を傾げる。
こうすると大抵折れてくれることも、僕達がそれを知っていてこの行動をとっていることを響葵が知っていることも分かっている。
僕達は響葵ともう一人の幼馴染にはかなり甘えてると思うし我が儘も迷惑な事も言っている。