Contrary
「昨日のことなんだけど……」
倉庫でふと声を発したのは舞夜。
珍しく寝ていない舞夜は誰もが気になっていたことについての話に触れる。
舞夜の言葉にぴくりと反応したのは妃海。
粃も表情が何となくかたい。
気がするだけなんだけど。
「昨日のことって、族が潰されたこと?」
「そう」
「確かTenebraeの仕業なんだよねー?」
炉亜は首をかしげて問いかける。
悠葵はパソコンに向き合っているが、話はしっかり聞いているのだろう。
「Tenebraeがどうかしたのか?」
「気になる」
「気になる……?」
「うん」
真剣な顔をしている舞夜の雰囲気を察したのかパソコンに目を向けていた悠葵が顔を上げるのが横目に見えた。
妃海も粃も緊張したような顔をしている。
「舞夜、何が気になるの?」
パソコンをする時だけかけているメガネを外しながら悠葵が問いかけると、舞夜は言葉を続ける。
「“お姫様はどうしてここにいるの?”」
「それ……金髪の男が言ってた言葉だね?」
呟やかれた一言に悠葵が問いかけると、舞夜は首を縦に振った。