Contrary




“お姫様はどうしてここにいるの?”

それは昨日の夜、Tenebraeに言われた言葉だ。



「それがどうして気になるんだ?」

「……風華に姫がいるのはみんな知ってる」

「あぁ。そうだな」

「なら……どうして、わざわざ問いかけるんだろう」

「それもそうだねぇ。
粃が僕達と一緒にいても何一つおかしくないもんねー?」



柔らかい口調でそう言いながら炉亜は粃に絡む。

真面目な話をすることを極力したくないらしい炉亜は、真面目な雰囲気になると粃に絡む。

粃も粃でそんな炉亜を甘やかすから、調子に乗って炉亜はさらに絡む。

しばらくすると悠葵がキレて真面目な雰囲気に戻すんだが、今日は絡みながらもちゃんと話に参加する気があるらしい炉亜の様子に悠葵は何も言わない。



「粃、なにか心当たりない?」

「心当たりって……舞夜、もしかして私がTenebraeと関わりあるって言いたいの?」

「…………疑いたくはないけどそう思えば、説明がつく」

「何も知らないわ。Tenebraeのことなんて何一つ」



きっぱりと言い切る粃。
その瞳は何かを隠しているようには見えない。



「Tenebraeに関して、情報が何一つない。
粃……本当に知らないの」

「ちょっと……舞夜、いい加減にしてよ
仮に知ってたら皆にちゃんと言ってるわ?」

「…………そう。
なら、疑ってごめん」



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