Contrary
「炉宮、悠葵から電話きてるよ」
「はぁ?悠葵?」
常にサイレントにしている携帯を見て響葵が言う。
今の時間は22時46分。
俺と響葵は双子の家でご飯を食べて、そのまま泊まることにしていた。
鈴桜はそそくさと寝たが、史桜は部屋に戻ってはいるもののおそらく寝てはいない。
そんな中で悠葵からの電話。
響葵ではなく俺に向けての電話。
不思議に思いつつも電話に出る。
「もしもし?」
[夜遅くにすいません、少し頼みたいことがあって……]
「頼み?」
[Tenebraeって知ってます?]
「あー、最近噂になってるやつだよな」
俺がそう言うと、やっぱり知ってるんですね。と乾いた笑い声が電話の向こうから聞こえる。
「それがどうかしたのか?」
[炉宮さん、調べてもらえませんか?]
「俺?
暴走族ってのには普通は情報担当みたいなのがいるんだろう?
俺なんかに頼らなくても……
それに、俺はそんな技術ないしな」
[炉亜が言ってました。
炉宮さんなら出来るかもしれない……と]
炉亜……?
あいつが俺の名前を出すなんて珍しいこともあるもんだな。
だからと言って、この頼みを聞くつもりはないが………