Contrary



それでも嫌な顔一つせずに響葵ももう一人の幼馴染も付き合ってくれている。

恵まれてるのだろう。
人との繋がりってやつ。



「……あー、はいはい」

「「炉宮も誘おうよ!」」

「炉宮は一限目現国って言ってたからだめ」



数少ない教員が来る教科が現国と英語。
現国の教員の担任と英語の担任は元希掠(きらく)の人間らしい。

希掠っていうのは全国No.1の暴走族。
そもそも暴走族の順位なんて誰が決めてるのかも分からないし、何を基準にしているのかも知らない。

……というか興味が無い。

とりあえず、この二つの教科の教員は出席日数でさえ厳しくチェックされるし、その上テストも難易度が恐ろしく高い。

そのために否が応でも受けざるをえない授業なのである。



「あの……炉宮くんって?」

「杏路 炉宮(あんろ ろく)」
「僕達の幼馴染みなのー!」
「「ひとつ上の学年だよ!」」

「そうなんだ」

「そろそろ校舎案内に」
「しゅっぱーつ!」



そう二人で言うと鈴桜は妃海ちゃんの、僕は響葵の手を取って教室から出る。

順番に校舎を案内して、彼女を観察してた。

授業とはいえうるさい教室は沢山あったけど廊下に出てる生徒はいなかった。
出てるのバレたら怒られるからね……

そんな時。
悲鳴のような甲高い声が聞こえた。

僕や鈴桜や響葵は“あぁ、またか”くらいにしか思わない。
だけど彼女はそうじゃないらしく、不思議そうにあたりを見回していた。



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