Contrary




当時、白鷺にはあまり良くない噂が流れていた。

レイプをやっているだとか、薬をやっているだとか……
ありきたりな内容ではあったけど、俺たちに衝撃を与えるのには十分だった。

白鷺は俺たちだけではなくて全ての族の憧れだった。

正統派だったし、俺や絆たちも助けられた事があったからそんな噂信じたくなかった。

でも、調べれば調べるほど噂を決定付けるものばかりで……



「まさか、あの噂が黒炎の仕掛けたものだったなんてね」

「……後悔したって仕方ない」

「誤解だって気がつくのが遅かったんだよね」



希掠と手を組んで白鷺を潰してから、噂が全て誤解だと分かった。

その時にはもう遅くて、白鷺の倉庫にあったのは銀色のピアス。

ピアスの模様は燃えるような赤い龍が描かれていた。



「気になるのは、あの日の倉庫にあった血の跡……」



俺と舞夜しかいないこの空間で、どこか重い空気が流れる。



「あのピアス、見覚えがある」

「舞夜……?」

「白鷺の中心格の男が付けてた気がする」

「中心って……総長?」

「違う。
白鷺には幹部とは違う、顔を公にしない5人がいたらしい

俺は……その5人にあったことがある」

「……」

「中心にいた男以外は顔を隠してて見えなかったけど、唯一顔を隠していなかった男が付けてたピアスだったと思う」



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