Contrary
「最近、希掠が出入りしてると噂のBARを探してたんだ」
「それ初耳なんだけど」
「この情報、誰からか分からない相手から絆にメールされてきたのよ」
「半信半疑で帰りに探してみようってことになって、ちょっと探してきたんだ」
「そうなんだ。それで、あったの?」
問いかけると絆は難しい顔をする。
その顔を見て、見つからなかったんだなと確信する。
「あったらもっと来るのおせぇよ」
「……だろうね」
「それで、今抱えているものもあるだろうが、このメールアドレスを特定するのを頼んでいいか?」
そう言いいながら、絆が渡してきたメモを小さく頷いた舞夜が受け取る。
そのメモには絆に送られてきたメールの相手のアドレスが書かれているのだろう。
舞夜が持つメモを覗き見る。
「…ぇ」
そのアドレスを見て思わず小さく声が漏れる。
「悠葵?知っているのか?」
「あ……いや。
知り合いのものと似てただけ。
よく見たら違ったよ」
絆の問いかけにそう返す。
しかし、これは……
間違いない。
知り合いのものに似てるなんてものじゃない。
このアドレス……知ってる。