Contrary
「Tenebraeって最近活発らしいじゃん?」
「……みたいだね」
「他に活発なのは何処かしら?」
「希掠ー?」
「あそこは今は活発というより慌ててるよね。
活発なのは風華じゃないかな?」
とあるBARの一角で話している5人。
その姿をBARのマスターはただ、微笑ましげに見ていた。
そんなマスターに彼らは話を振る。
「マスターはどう考えるのかしら?」
藍色に近い紫の短髪を揺らし、首を傾げる男。
口調こそ女性の様だが、見た目はとてもかっこよく、モデルだと言っても通じるくらいだ。
「私ですか?」
「此処は“色んな人”が出入りするじゃない?
何か面白いこと、知ってるんじゃないかなと思って」
「さぁ?
そういうことは“白鷺の皆様”の方がご存知なのでは?」
からかうように笑うマスター。
その様子に紫の髪の男は拗ねたように口を尖らせる。
「俺らはもう白鷺じゃねぇよ」
「そーそー!白鷺は潰されたんだからー」
そんな2人の会話に割って入ったのは金の髪の男と栗毛色の可愛らしい男。
その会話から彼らが白鷺であることが分かる。
潰されたという割には誰かを恨んでいる素振りはない。
「白鷺は置いといて……あの子達が心配」
「そうだね。
目の前で失ったからね」
黒髪で少し猫目の男はどこか遠くを見ていて、もう1人の黒髪の優しげな男は目を伏せる。