Contrary
「復讐とか考えそうよねぇ」
いつの間にか元々の話題から逸れていく5人。
マスターはただ黙って彼らの話を聞いていた。
「そもそも希掠と風華が余計なことしなければよかったんだろうが」
「いやいや、恨むなら黒炎でしょー!」
「そもそも否定しなかったのが落ち度」
「みんな悪いって事だよ」
ここで会話が一度途切れる。
各々、何かを考えているようだ。
マスターは静かに彼らの前にそれぞれがいつも飲んでいるカクテルを置く。
「なぁ、Tenebraeって……」
「その続きは言っちゃダメよ、侑蘭(うらん)」
「なんでだよ。
お前だって同じこと思ってんだろ、紫義(しぎ)」
女性のような口調の男は紫義といい、金髪の男は侑蘭と言うらしい。
彼らはTenebraeの正体について何か知っているようだ。
「言葉にすると本当になりそうだもんねー」
「葉由(はゆ)ちゃんはよく分かってるじゃない」
「そりゃ、僕らみんな同じ事考えてるしねー」
栗毛の男……葉由は悲しそうに笑う。
「立ち直ろうとしていると信じたい」
「そんな簡単なものじゃないよ」
「でも……露衣(ろい)……」
「あの子達にとって存在は大きかったから、仕方ないでしょう。
涼稀(りょうき)」
猫目の男は涼稀、優しげな男は露衣と呼ばれる。
BARに沈黙が流れる。
そんな時、マスターがふわりと笑い仲間ら声を掛ける。