Contrary
「1人で来るなんて珍しいな」
「……そう?」
「昔はそうでもなかったけど、最近は1人では来なくなったろ?」
「最近って何年前のこと言ってるんだ」
「2年だな」
「2年を最近というか……歳だな」
「るせぇぞ、ガキ」
女にしては低く、男にしては高いが心地の良い声がフードの人物から聞こえる。
僅かにフードから除く口元は呆れたように笑っている。
「翔音さん、お知り合いですか?」
「まあ、そんなものですね」
「その口調気持ち悪ぃな」
「なんだと?調子のんなよ」
不思議そうにする彼らにマスター……翔音は柔らかい口調で返す。
それに対してフードの人物は態とらしく肩を竦めて言葉を放った。
彼等は不思議に思う。
翔音があまりにも砕けた口調で、その上親しげに怪しい人物と会話をしている事に。