Contrary
「あの……おふたりの関係は?」
「マスターと常連ですね」
彼らの存在を忘れていたフードの人物は小さく舌打ちした。
「ところで、こいつら誰?
見たところ“俺と同じ歳くらい”だろ?」
ここで初めてフードの人物の事が分かった。
一人称から男であることが推測される。
これは何となく彼らも感じていたことだった。
しかし、“同じ歳くらい”と言ったことが引っかかった。
「ご名答。
と言ってもお前より一つ上だがな」
「へぇ……歳上なんだ」
そう呟くと彼等のことを値踏みするかのように見るフードの男。
「これが、希掠ねぇ……
案外大したことないんだね」
嘲笑うように言い放たれた言葉に彼等のうち1人が過剰に反応する。
「なんだとっ!?」
彼等は希掠の一員らしい。
過剰に反応するといっても、自分の族を馬鹿にされたようなフードの男の言葉に苛立つのは仕方が無いことだろう。
感情に任せたようにフードの男に殴りかかる彼。
たがしかし、その拳がフードの男に届くことはなく、片手で受け止められていた。
彼の身長は170cm後半程はある。
それに対してフードの男は160cm後半と言ったところだろうか。
その体格差をもろともせず、簡単に拳を止めてみせた。
しかも、かなりのスピードで繰り出された拳を片手で……だ。