Contrary
「こんなくだらない挑発に乗るところが大したことないって言ってるんだ。
自分の力量と相手の力量を把握してないあんたらが、“お姫様を見つけられる”わけねぇだろ」
「「……っ!?」」
フードの男の言葉に目を見開く彼等。
コロコロ変わるその表情にフードの男は小さく笑うと踵を返してBARから出ていこうとする。
彼等は呼び止めようとするが、呼び止めてどうする?という気持ちが無意識に働いたのかその言葉は音になることは無かった。
「レキ」
柔らかい声色がフードの男を呼び止める。
しかし、フードの男は足こそ止めたものの振り返ることはない。
「たまには帰ってこい」
「……冗談でしょ」
翔音の言葉に、困ったように笑いながらフードの男はそう返すと、BARから出ていった。
「なぁ、翔音さん」
「なんでしょう?」
「あいつ、一体何者なんだ?」
受けとめられた拳を見つめながら問いかける彼の言葉に、自分も聞きたいとばかりに翔音を見つめるもう1人の彼。
そんな時、カランと音を立てて扉が開かれた。
入って来たのは3人の男。
新たな来客は神妙な面持ちの彼等に首を傾げる。
そんな様子に翔音はただ微笑むだけ。