唄に想いを込めて


翔の色気を含んだ、甘すぎる声に、耳に掛かる吐息に、思わず肩が跳ねる




「俺は入学式の日に、奏が音楽室でピアノを弾いているのを見たんだ…

その時の奏が儚くて…それでいてとても綺麗で……

一目惚れ…したんだ……



奏が俺を翔って呼んでくれなくて妬いたし

奏が他のやつを想って作った曲なんか苦しくて唄いたくなかった…



でも、唄えば奏との接点ができると思って…

あわよくば俺に惚れれば良いと思って…


けど、話す度に奏はどうやっても俺を好きにならないことを思い知らされる



奏が他のやつを想って作った唄を唄っても俺はどうしても奏を想ってしまう



奏にはこんな想いを伝えちゃいけないと

後ろめたく思いながら、奏の唄を唄っていた」





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