そんなのいらない。【完】
公平といつも行く地元の居酒屋。

職場とアパートの丁度中間地点にある為、よく行く店だった。

-ガラガラガラ-

『いらっしゃ〜い!おっ、理恵ちゃん久しぶり!』

店の店長、新さんだ。

私の4つ上で、28歳。最近前の店長である父親から代替わりして継いだ若店長のすぐるさん。

年も近いから私はすぐるさんと仲良しになった。


「こんばんわ。公平来てます?」

『まだだよ!先座ってなよ、いつもん所!』

「ぁ〜い!」

私はいつも座るカウンター席の奥に腰を下ろした。



『理恵ちゃん先飲む?公平の事だから遅れるんじゃん(笑)』

「ですよね〜。じゃぁ、生で!」

公平は私より遅いとかなり遅れてくる。





"今日は奢らせてやる!"

私はそう思い、キンキンに冷えたジョッキのビールを一口飲んだ。

暫く経つと、すぐるさんが横に座った。



『今日は暇でさ、俺もお邪魔するわ♪』


「どうぞ、どうぞ(笑)」


すぐるさんも生ビールを手にして乾杯した。


『にしても、公平の奴おせぇなぁ!』

「本当ですよ。アイツ絶対また新しい女っすよ!遅れて来る時絶対揉めてんだヵら。」


そう。
公平は彼女ができると私との待ち合わせに遅れて来る。

理由は彼女の妬き持ち。

きっと今日も必死になってんのかな。



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