そんなのいらない。【完】


爽やか君と別れ、私はショッピングセンターへ向かった。



"秋物パァっと買うかな〜。"

ウロウロしているとヒロトと付き合ってた頃よく寄った男性物のアクセサリーショップの店員さんに声を掛けられた。


『あれ?!理恵ちゃん!?』


「ども。」


この人はヒロトと一番仲良かった店員さん。名前なんだっけ?


『凄い久しぶり!元気だった?』


「はぁ…。」


『昔はよくヒロトと来てたよね!アイツ、最近はずっと一人で来るんだよな。理恵ちゃん連れて来いって言ってんだけど渋ってて。』


「え?…そぉだったんですね…ぁっ、急いでるから失礼します!」


小走りでショップ前を後にした。


"何?…ヒロトは私と別れた事言ってない?何なの?"



ぁあ、また心が痛い…



私はもぅ、別れた時にヒロトへの想いに蓋をしたのに…まだこんなに思い出に振り回されるなんて…。



勢いでアパートまで帰って来てしまった。




『理恵ちゃん♪』


「渡…。」


『休みなの?』


「うん。」


鍵を差し込みながら答える私に渡は続けた。


『理恵ちゃん、彼氏と出掛けたりしないの?』


「そんなのいらない。」


『待って?理恵ちゃん何かあった?泣きそうな顔してる…。』







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