そんなのいらない。【完】
「マヂ勝手過ぎ!」


独り言を言いながら、すぐるさんの店へと足を運ぶ。




-ガラガラ-

『らっしゃ〜い!』


すぐるさんの声。


「こんばんわっ!」


『おせえよ理恵!』

既に公平はいつものカウンター席にすわっていた。


「単調に歩いてましたよ!」

言い返す私。


『今日、雪降ったら泊めろよ!俺明日休みだし♪』


当然の様に言う公平。


「ここは奢りね!」


『は?!まだ降るかわかんねーじゃん!』


「先払いだから関係ないし!」


ぶうたれる公平を見て笑いながら熱燗を運んで来た、すぐるさん。


『お前等、本当に仲良いなぁ〜。こりゃ、お互い彼氏、彼女が出来たらまた大変だな(笑)』


他人事みたいな目線で笑うすぐるさん。


「公平はともかく、私は彼氏は今いらない。」


堪らず答えた。


『まぁ、例えじゃん?』

「何か、この歳でまだ彼氏出来ないのかって言われる方が嫌。仕事楽しいし、こおやって友達と楽しく飲んでる方が楽。」


『そりゃそぉだな。』

串焼きをほうばりながら答えた公平。


『お前等はまだ大事な人に会ってないだけだって!』

すぐるさんが口を挟んだ。


「大事って思ってたのは自分だけだったら嫌。もう、つまらない感情に振り回されたくない!」


『わっ、わかったよ、理恵ちゃん!落ち着こうね。』

少し息を荒げて力説した私を制止するすぐるさんは、新しい熱燗を用意した。


『きっと、理恵ちゃんにも素敵なダーリン出来るよ。』


「だから、いらないってば。」


"頑固だな、私"


自分で思える位、頭固いかも。




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