【短】キミを好きだと叫んでみたら
「俺は、入学式の前に…門の傍で楽しそうに桜を見てた李弥に見惚れたんだよ…」


そう言ったら、李弥はまたぽろぽろと涙を零した。


「大好き、紘汰くん」

「ん。俺も」


ぎゅっと繋いだ手から、温かいものが流れて溢れてくるみたいだった。


キスしたり抱きしめ合ったりは、俺達にはもう少し時間がいるのかもしれない。

でも、おんなじ気持ちがあれば、構わないと思った。


「李弥、ゆっくり俺達のペースでいこうな」

「う、ん」

「…物足らない?」

「…っ…紘汰くんの意地悪」

「うーそ。俺らは俺らなりの付き合い方ってあると思う。勿論、李弥の事好き過ぎて暴走しそうな時もあるけどな。でも、李弥の事、大事にしたいから…ううん。大事にするから」


そう言って、李弥の頬に片手を当てると李弥がくすりと笑った。
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