【短】キミを好きだと叫んでみたら
「紘汰と李弥、付き合ってから3ヶ月だっけ?」

「…へ?」

「なのに、ナニもないとか変じゃない?」

「ちょ、なんでそれ知って…って。あ…李弥かぁー」


それを言われると辛い。
てか、痛い。


俺だって、抱き締めたりキスしたり、したいけど。


「手ぇ繋ぐだけで、あんなにガチガチに緊張されたら、無理強いなんか出来っこないっしょ…」




手を繋ぎ始めたのも、2ヶ月目にしてやっとだった。
そっと包み込むように左手を李弥の手に重ねたら、ビクリとしあとで、もじもじと顔を赤くして手にきゅうっと力を込めた。
それが凄くいじらしくて、可愛くて愛しくて…。

もっともっとと心が言うのを必死で堪えて、なんとかやり過ごした。 


ふんわりと漂うその仕草は、まるで可憐な花のようで。
その花を自分で手折って汚してみたいと思ってみても、すぐにそんな事はしちゃいけないって、自分をたしなめる。


それに、俺もこんなにも人を好きになった事なんか初めてで。
だから、1つも経験がないから…どうしていいのか分からない事だらけ。


どれくらいの力で手を繋いだら痛くないなのかなとか、今でもドキドキするし李弥に触れる度に、胸がぎゅっとなる。

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