この一言が言えたなら
彼女は彼に恋をしてしまった
それから彼女は毎日、何をすることもなく窓側の席からグラウンドを見つめていた。そして、その視線の先にはやっぱり彼がいた。彼女は彼に恋をしてしまっていた。
その日の帰り道、玄関でばったり彼と会ってしまい、一緒に帰ることになった。しかし彼女は一言もしゃべれずに彼と別れてしまった。
初めて近くで彼を見ることが出来たのに。
初めて二人きりになれたのに。
せっかく話せるチャンスだったのに。
心臓が飛び出しそうなほどドキドキしてたのに。
彼の話が耳に入ってこなかった。
片思いしている人と話せるせっかくのチャンスだったのに話せなかったら誰でも後悔するだろう。それと同じように彼女は後悔した。
そして次の日からまた、窓側の席からグランドを見つめる日々が続いた。