【短編】TIME RAIN
あの人が帰ってこないまま…3週間が過ぎていた。

2ヶ月ぐらい帰ってこない時もあったから、それはそれで心配ではあったものの、警察に行方不明を届けるでも、探偵に依頼するほど、切羽詰まりでもなかった。


そのうち、ひょっこり帰ってくるだろうから。




遅い時間に軽くお茶漬けで昼をすまし、室内干しの洗濯物を取り込みにかかる。


乾燥機がきちんと備え付けられているのに、私だけの着替えのために、余計な電気代がかかるのも気がひけるから、私一人の時は使わない。


そんな私にあの人は『貧乏性だな…』と苦笑いをする。


そんなつもりはないのに…よく出来た女…私が作り上げた虚像の私。


控えめででしゃばらない、古風な女性。




そして、目立たないこと。


何よりもそれが1番重要だったから。






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