【短編】TIME RAIN
『僕が…し…ぐ…れ…の好きな…人…だっ…たら …よかっ…たのに』




小さな小さなな消えそな声が私の心に届いた。




そうね。


あなたに会えてたらよかった。


天を仰ぐ私の頬を冷たい通り雨が降り注ぐ。


やがて、雨が雪にかわり、雪時雨にかわるだろう。






でも。


雨が上がる前に。


私は新たな土地へと流れていく。


あの人を見つけるために…。


私たち天空界の住人が侵しやすい禁忌があった…それは、地上界に住む人間に恋すること。だから私たちは地上に住むために妖魔と取引をする。それが死よりも尚濃い罪だとしても…私のエゴを貫くために。


ただそれだけのために…
罪を享受する。







さようなら、信一さん。
あなたが2番目に好きでした。







END
2008.9.27初稿
2008.9.30脱稿
哀神 ゆう



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