7日間目の蝉
次の花火が上がり終えたら言おう。そう何度も思うが簡単にはいかなかった。

5分程経ってようやく花火が終わった。

僕が宮野の名前を呼ぼうとした時、僕より先に宮野の口が開く。

宮野「夏樹くん!私…夏樹くんが好き。」

僕「えっ…」

思いもしなかった言葉が宮野の口から出る。

キョトンとしている僕に宮野は椅子から立ち上がり続けて言った。

宮野「夏樹くんが好き。だから…私と付き合って?」

僕から言おうとした事が、宮野から言ってくれるなんて。これ以上嬉しい事はない…

僕「僕も宮野が好きだ。でも…付き合えない。僕は…」

宮野「私、全部知ってるよ。」

僕「全部って…」

宮野「うん。全部。後6日間しか生きられない事…」

なんで…宮野が…必死に考えるがどうして知っているのか分からない。修が言ったのか…?でも修は軽々と話す奴ではない。あるいは西か……それも違うような気がする。

僕「なんで…どうして……」

宮野「夏樹くんの担当医師、私のお父さんなの。」

さっきから驚く事ばかり。心臓がもたない…
驚きを隠せずにいると、宮野が優しい口調で話し始める。

それでも私は夏樹くんと付き合いたい。私、今日までずっと考えてた。
告白してもただ夏樹くんを悲しませるだけなんじゃないかなって…それなら気持ちを伝えないでおこうって。


僕と同じ事を宮野は考えていたんだ。西がファミレスで言ってた、雫がどれだけ苦しんでるかも知らないくせにって……こうゆうことだったのか…

宮野は少し間を置き、また話し始める。
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