最後の恋愛 番外編 ☆もうひとつのストーリー☆
「何思い出してるんだ?」

私はその声にハッと我に返った。

私の傍に立つ大麦が、にんまりと微笑んでいる。

私は慌てて否定した。

「別にっ、そういうんじゃないしっ。」

そういうんじゃ

大麦のことをはじめて男の人って意識したあの時のあのキスとはじめて手を繋いだあの瞬間のこととか

歩道を歩きながら、何度も何度も啄ばむようなキスをされたことを思い出したり

して、赤くなってるわけじゃない・・

大麦は、私の顔を覗き込んで、フッと微笑んだ。

「大和、可愛い。」

私は、くあっと更に赤くなり顔を背けた。

「おいっ、勝手に盛り上がってんなよ!」

ああ、そうだった。

ハルがいたんだった。

大麦はめんどくさそうに髪をかきあげた。

「で、壁ドン?」
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