ノンストップラブ
「いい匂いね。」

バターの焦げた匂いだ。

短パンとタンクトップというラフな格好をした誠は

シャワーの後で頬がほんのり上気していた。

俺は有り合わせでオムライスを作り冷蔵庫から炭酸のボトルを出した。

「さ、食べよう。」

2つのグラスに炭酸水を注いだ。

誠が椅子にかける仕草でさえ俺だけのものにしておきたいという狂った思いがあった。

「いただきます。」

スプーンで一口目をすくいパカッと開けた口の中にそのひと山が消えていく様子をチラッと見ながら俺は炭酸水で喉を潤した。

「う~ん、美味しい。ベーコンがカリカリね。」

「真空パックのベーコン、賞味期限が切れてた。」

「全然問題ないわね。」

「そうだな。」

全てがこの調子だ。

食べ物を粗末にしないレベルが普通でない。

「炭酸はあと何本あったかな?」

「あと3本ある。」

「そう。」

1本68円の炭酸水を飲料用と洗顔用に共有していることも普通の女がすることではない。
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