ノンストップラブ
δ. 波乱な食事会
白石家では毎年恒例の食事会がある。

つまり弁護士家系による絆と言えば聞こえはいいが

一族の単なる顔合わせでしかない茶番だ。

俺はなんだかんだと理由をつけて毎回欠席していたが

今回だけは誠を連れて出席するつもりだ。

「食事会?」

「カジュアルランチだ。」

「でも、私、場違いだと思うけど。」

「俺も顔を出すだけだ。いつも行ってないから仕方なくて。」

「でもね、白石家のお集まりでしょ。私無理。」

「大丈夫だ。歳の近いいとこ達もいるし。」

「そう。」

「一度でいい。今回だけ来てくれないか?」

「わかった。でも何を着て行けばいいの?私リクルートスーツしかないんだけど。」

「それでいい。全員スーツだと思ってくれていい。」

「弁護士だから?」

「そ、スーツが普段着ってどう思う?」

「それはちょっと職業病かしら。」

二人で笑った。

俺が以前弁護士だったことはどうでもいいことだ。

誠にはそれすら聞かれたことがない。
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