ノンストップラブ
祖母のどでかい屋敷に一歩足を踏み入れただけで俺は息が詰まった。

誠は静かな面持ちでダイニングへの通路を歩いた。

本当はあちこち目を向けて観察したいうずうずとした気持ちでいるのかもしれない。

細長いダイニングテーブルにはすでに白石家の面々が着席していた。

上座には祖母が正面を向き

その右手に母、兄、姉、一つ飛ばして、

そこが俺の席であろうことは確認しなくてもわかる。

叔母(母の妹)、従妹の順だ。

反対側には父、義姉、姉の婚約者(近い将来の義兄)、一つ飛ばして、

そこが誠の席だ。

そして叔父、従妹と並んでいた。

俺と誠は空席に無言で座った。

「揃ったところで始めましょう。」

祖母の太い声が響いた。

フレンチだ。

誠が戸惑うかを気にしたが

真向いから見た様子では何でもないような表情しかわからなかった。

いきなり食事が始まった。
< 24 / 32 >

この作品をシェア

pagetop