ノンストップラブ
大学を卒業しても就活中だったある日
旅先でおじが倒れ、おばはバッグ一つを手にすっ飛んでいった。
私は留守番を頼まれた。
搬送先の病院でおじが亡くなったことは翌日おばからの電話で知った。
その時の喪失感はのどを鷲づかみされたように苦しく
ふさがれて声が出せず涙があとからあとから溢れて止まらず
どうしていいかわからず床にしゃがみ込んで泣いた。
頭に思い浮かぶのは旅先から帰ったおじのことだ。
「ほら、誠。お土産だ。」
玄関を上がると必ずそう言いながらリビングへ入ってきた。
「何のお土産?」
と無邪気に聞く私の頭をそっと撫でながら手渡すのだ。
「開けてごらん。」
それは小さな箱だった。
カサカサと包まれた紙を開くと透明なプラスチックのケースの中には
薄いピンク色の石がついたネックレスが入っていた。
石は涙型にカットされていてシルバーのチェーンが華奢でキラキラと輝いていた。
後で知ったがそれは山梨の紅水晶だとわかった。
「どれ、首につけてあげようか。」
ケースを開いてネックレスを取り出したおじは私の後ろに立ち
小さな留め具をいとも簡単に外してかけてくれた。
私は初めてのネックレスの重みにひどく感激した。
「ありがとう。今までのお土産の中でこれが一番嬉しい。」
見て見てとおばにもつけたネックレスを見せた。
「あら、良かったわね。とっても似合うわよ。誠もネックレスに負けないレディになるのよ。」
「うん、女らしくって意味ね。」
皆で笑った。
その時の笑い声が耳によみがえりポロポロと涙を流しながら泣き続けた。
私の泣き声は誰にも聞こえずそのことでさらに悲しみが増した。
父親代わりのおじを突然失い、母親代わりのおばと二人だけになったことで
私は自立心を持つべきだとはっきりとした意思表示をしたが
おばには大丈夫だからがむしゃらに自分を傷つけないよう
これからの人生はゆっくりと考えて決められることだと反論された。
私はそんな風に言われるとは思っていなかった。
おば夫婦には感謝してもしきれないほどの恩があり
どうしたらその恩を返せるのか
私に何ができるのかと自問する日々となった。
旅先でおじが倒れ、おばはバッグ一つを手にすっ飛んでいった。
私は留守番を頼まれた。
搬送先の病院でおじが亡くなったことは翌日おばからの電話で知った。
その時の喪失感はのどを鷲づかみされたように苦しく
ふさがれて声が出せず涙があとからあとから溢れて止まらず
どうしていいかわからず床にしゃがみ込んで泣いた。
頭に思い浮かぶのは旅先から帰ったおじのことだ。
「ほら、誠。お土産だ。」
玄関を上がると必ずそう言いながらリビングへ入ってきた。
「何のお土産?」
と無邪気に聞く私の頭をそっと撫でながら手渡すのだ。
「開けてごらん。」
それは小さな箱だった。
カサカサと包まれた紙を開くと透明なプラスチックのケースの中には
薄いピンク色の石がついたネックレスが入っていた。
石は涙型にカットされていてシルバーのチェーンが華奢でキラキラと輝いていた。
後で知ったがそれは山梨の紅水晶だとわかった。
「どれ、首につけてあげようか。」
ケースを開いてネックレスを取り出したおじは私の後ろに立ち
小さな留め具をいとも簡単に外してかけてくれた。
私は初めてのネックレスの重みにひどく感激した。
「ありがとう。今までのお土産の中でこれが一番嬉しい。」
見て見てとおばにもつけたネックレスを見せた。
「あら、良かったわね。とっても似合うわよ。誠もネックレスに負けないレディになるのよ。」
「うん、女らしくって意味ね。」
皆で笑った。
その時の笑い声が耳によみがえりポロポロと涙を流しながら泣き続けた。
私の泣き声は誰にも聞こえずそのことでさらに悲しみが増した。
父親代わりのおじを突然失い、母親代わりのおばと二人だけになったことで
私は自立心を持つべきだとはっきりとした意思表示をしたが
おばには大丈夫だからがむしゃらに自分を傷つけないよう
これからの人生はゆっくりと考えて決められることだと反論された。
私はそんな風に言われるとは思っていなかった。
おば夫婦には感謝してもしきれないほどの恩があり
どうしたらその恩を返せるのか
私に何ができるのかと自問する日々となった。