溺れてはいけない恋
指定日に最寄り駅で待った。
黒の外車がロータリーを回って俺の間近に音もなく止まった。
左ハンドルの運転席の窓が開き
お抱え運転手の代表とも言える中年男性が俺に会釈した。
「遠藤様、お迎えに参りました。」
彼は素早く車を降り
後部席のドアを開けて
俺が乗り込むのを待った。
「ここから10分ほどで到着いたします。」
海沿いの山の中だ。
こんな寂しい場所に家があるのだろうか。
俺は窓から見える海岸線が
だんだんと眼下へ遠くなるのをぼんやり見た。
車が走る両側は林しかない。
周りには家らしきものはなく
唯一舗装された道路を走っていることだけが
ど田舎ではないことを指していた。
運転手が言った通り10分ほどすると
前方に門が見えた。
がっしりとした鉄製のそれは左右にある防犯カメラの動きで
車が近づくにつれて門が開くとわかった。
その門構えだけで俺は嫌な予感がした。
守衛こそいないが
どのくらいの規模の邸宅か想像はできた。
恐らく駅からすぐ山に入ったところから
私有地だろうと検討をつけた。
目の前がいきなり開けて噴水が水しぶきを上げていた。
ロータリーになっており
正面のドアに続く階段の前で車が止まった。
運転手がまたドアを開け
俺が降りるのを待った。
「到着いたしました。」
建物はどっしりとした石造りだ。
黒の外車がロータリーを回って俺の間近に音もなく止まった。
左ハンドルの運転席の窓が開き
お抱え運転手の代表とも言える中年男性が俺に会釈した。
「遠藤様、お迎えに参りました。」
彼は素早く車を降り
後部席のドアを開けて
俺が乗り込むのを待った。
「ここから10分ほどで到着いたします。」
海沿いの山の中だ。
こんな寂しい場所に家があるのだろうか。
俺は窓から見える海岸線が
だんだんと眼下へ遠くなるのをぼんやり見た。
車が走る両側は林しかない。
周りには家らしきものはなく
唯一舗装された道路を走っていることだけが
ど田舎ではないことを指していた。
運転手が言った通り10分ほどすると
前方に門が見えた。
がっしりとした鉄製のそれは左右にある防犯カメラの動きで
車が近づくにつれて門が開くとわかった。
その門構えだけで俺は嫌な予感がした。
守衛こそいないが
どのくらいの規模の邸宅か想像はできた。
恐らく駅からすぐ山に入ったところから
私有地だろうと検討をつけた。
目の前がいきなり開けて噴水が水しぶきを上げていた。
ロータリーになっており
正面のドアに続く階段の前で車が止まった。
運転手がまたドアを開け
俺が降りるのを待った。
「到着いたしました。」
建物はどっしりとした石造りだ。