溺れてはいけない恋
「遠藤に入籍します。」

「はあ?」

思わず凝視した。

「それはマズいよ。」

「どうして?」

「考えてなかったことだし。」

「では今考えてください。」

「今?」

俺はその場で固まった。

頭の中で想像するとこうなる。

まず多良を親に紹介する。

これは問題ないだろう。

次に式無しで籍を入れると報告する。

恐らく理由を求められるだろう。

対する返答としては

費用と時間に制限があるとしよう。

次にお互い別居とする。

さすがにこれには違和感ある。

俺としては同居に踏ん切りがつかない部分があった。

何か説得力のある理由を考えなくてはならない。

思案中の俺にマグが差し出された。

いつの間にか入れたコーヒーの香りが

ワンルームに漂っていた。

「ありがとう。」

「考えてもらえたかしら?」

熱いコーヒーを喉に流し

ふぅーとため息をついた。

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