溺れてはいけない恋
「一輝、こっちだ。」

三上の声は独特な低音だ。

俺は遠藤一輝。

一般サラリーマン家庭に育ち

大学院を卒業しても

ごく普通の地味な会社員に収まった。

その俺に比べ

三上はやたらと派手な店ばかり知っていた。

俺が飲めなくても高級料理店に呼び出し

俺には高価な料理をおごってくれて

三上は俺を相手に高価な酒を味わい

特に話が弾むわけでもないのに

時折俺に声をかけるのだ。

今夜は一体何の用があるのか見当もつかないでいた。

場所もいつもと違い騒々しいだけの空間だ。

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