溺れてはいけない恋
三上は奥に続く通路を慣れた足取りで歩き

突き当たりのドアの前で立ち止まって

軽くノックをして待った。

四角いのぞき穴から誰かの両目が現れて

三上とわかるとドアを開けた。

いわゆるVIPルームというヤツだろう。

俺にはさらに縁のない場所だ。

「一輝。」

三上は首を傾げて入るよう俺に合図した。

無言で彼の後ろを歩いた。

通された部屋は広くもなく狭くもなく

壁に沿って丸いテーブルが6つ並び

それぞれに客で埋まっていた。

調度品全てに金がかかっている雰囲気が

俺には次元の違う世界に足を踏み入れたように思えた。

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