復讐


勢いよく麺をすすり始めたはいいが、やはりいつものように喉に入っていかない。

半分ほど食べたところで箸が止まってしまった。


“出された料理は残していけない”

と母から教育を受けて守り続けていたが、今日人生で初めてその教えを破りそうだった。


ふと視線を前にやると、
タマダもまた箸が止まっていた。






「なんで俺たちがこんな目にあわなきゃいけないんだろうな。」


「・・・」


「ついこの前だぜ。サヤの結婚式。」


「そうだな。」


「友達が殺されるなんて経験、まさか自分がするとはな。」


「・・・」


「だから4こイチなんてクソ食らえ・・」


「やめろ。今は冗談きつい。」


「すまん。」




お互いまた箸を動かそうとしたら店員がお盆に何かを乗せて近づいてきた。



「ゲンキ ナイトキハ コレノムト ヨロシイ。」


卵スープだった。
もちろん俺たちは注文していない。



「いいんですか?」

「ジョウレンサン ダイジネ。」

「ありがとうございます。」


ママさんの卵スープが一段と体に染みた。

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