復讐
「大丈夫だったか?」
会議室でコーヒーを飲んでいたカザマがニシベに尋ねる。
「ただのヤク切れで騒いでいただけでしょう。もう大丈夫です。」
ニシベは机に置いてある資料を手に取り、カザマに向き合う。
「じゃあ続けようか。」
「はい。妻のサヤですが2年程前にストーカー被害にあっていました。
当時サヤは一人暮らしをしており、
帰りにあとをつけられたり、
郵便受けに気色の悪い手紙が入っていたなどの被害を受けていたようです。」
「それで犯人は?」
「はい、サヤが学生時代にアルバイトをしていたカフェの常連客、ヤスイという男でした。」
「その男とサカグチに何か接点は?」
「・・・ありません。
ヤスイの実家はお寺の住職で、逮捕,釈放後は実家のお寺で、ある意味幽閉されています。
サカグチはおろか、あまり外部との接触もしていないようです。」
「そうか・・」
「因みに、
どうもそのストーカー被害を当時の同じ職場の先輩 オオシマ タモツに相談していた事がきっかけで、
2人の仲は親密になっていったそうです。」
「オオシマみたいな男が近くにいたらそれは頼るだろうな。」
「ええ。ヤスイがストーカーだと発覚したのも、郵便受けをあさっていた所をオオシマが発見したのがきっかけのようです。」
「しかしニシベ・・・よくそこまで調べたな。」
「サヤの高校時代の同級生 ナガツカ マイという女性に接触することができたので聞き出せました。」
「なるほどな・・。」
「私からは以上になります。
・・・すみません、サカグチに繋がるものは見つかりませんでした。」
「私もだよ。
サヤの両親、出身地、通っていた学校まで調べていったが、サカグチと繋がる情報は見つからなかった。」
2人は椅子に座りお互いに用意した資料を机の上にポンと置いた。
「カザマさん、こうなってくるとやはりサカグチは無差別にオオシマの家に侵入したということに・・・。」
「ううむ。」
カザマは両手を後頭部に回し、体ごと椅子を左右に揺らした。
「明日もう1度サカグチを取り調べさせてくれ。」
「パターンはどれでいきますか?」
「Bだ。私1人でやってみるよ。」
「分かりました。」