復讐
「ええっと、23時過ぎにオオシマ夫妻の家に行った君だが、どこから侵入した?」
「あぁめんどくせぇな。
堂々と玄関から入ってやったわけだよカザマちゃんよぉ。
何回も言ってるだろ?」
「でも鍵は閉まってたろ?
どうやって中に入った?」
「覚えてねぇよそんなこといちいち。
多分テキトーにドア叩いてたら女が出てきたんだよ。」
「それで奥さんを最初に手にかけたのか。」
「俺の正拳突き食らわせてやったよ。
痛いぞ俺のパンチは。あんたも食らってみるかウヒャヒャヒャヒャ。」
「その後、家の中に侵入。
旦那さんも殴って気絶させた後、
キッチンにあった包丁で2人を刺したというわけか。」
サカグチはしばらく1人で大笑いしていたが、突如急に黙りこみ、ボソボソと喋り始めた。
「信じてくれよカザマちゃんよぉ。
俺はな、ホントは誰も傷つけたくないんだよ。」
薬物中毒者がよく陥る感情の起伏の激しさだ。
元気いっぱいでも突然このような状態になる。
カザマはここぞのチャンスと見た。