復讐
第6章 急転 後編
第6章 急転 後編
「カザマさん。そろそろ署に戻りましょうか。」
事件現場となったオオシマ夫婦の家をカザマとニシベが訪れていた。
夕方からサカグチに結びつく証拠の再捜索を始めたが、
鑑識の現場検証が隅々まで行われた後では新たに見つかる物はなかった。
2人はリビングにある椅子に腰掛けていた。
「ニシベ・・・正直どう思っている?」
カザマは肩を落としたままニシベに尋ねた。
「サカグチとオオシマ夫妻は無関係だったと思うか?」
「サカグチと無関係であってほしいと思うようになりました。
オオシマも妻のサヤも善良な市民ですからね。
あんなヤク中野郎とはかけ離れた夫婦ですよ。」
「そうか。」
「しかしカザマさんの言うとおり、
この家に押し入った理由が、
“たまたま目についたから”
は、やはり引っかかりますね。
奴の自宅からここまで10キロは離れているのに。」
「試しに危険ドラッグを使用して、外でも徘徊してみるか。
私もサカグチのように、たまたま目についた家に押し入るかもな。」
ニシベが思わずカザマを見て苦笑いを浮かべる。
「冗談だよ。もう20時回ったか。
悪かったな遅くまで付き合って貰って。」