復讐
第1章 追憶
第1章 追憶
アイチ県ムコウジマ市ムコウジマ警察署では今日も1人の男の取り調べが続けられている。
「いいかサカグチ。
お前の言っていることはさっきから支離滅裂なんだよ。
何が“ハメられた”だ!」
バンッと机を叩いて若い男が椅子に座る男に詰め寄る。
「大きい声出すなよおっさん、頭に響く。
そこら辺覚えてねーから俺も困ってるんだよ。
殺せばもっと快感が得られるって言うから従ったのに、こんな臭いとこ連れてきやがってよ。
とにかくシャブでも葉っぱでもいいから持って来い。吸ったら色々思い出すかもな。」
ボサボサの長髪に無精髭。
上下グレーのスウェットを着た男、
サカグチ マサムネが答える。
3日前に起きた夫婦殺害事件を起こした張本人である。
「覚えてない、覚えてないか。
てめぇ!警察舐めてんのか!」
「おいニシベ。落ち着け。」
サカグチに詰め寄る刑事 ニシベをサカグチの向かい側に座る男が制止した。
続けて男はサカグチに問う。
「サカグチ君。どうしてオオシマさんの家を狙ったんだい?」
「だーかーらー、覚えてねーって。
たまたま目についたからじゃねーの?」
「オオシマさんと面識は?」
「ない。ひょろそうな男だったから一発で仕留めてやったよ。ウヒャヒャヒャヒャ。
女のほうはいい女だった。
殺す前に一発ヤッておけばよかったよ。」
再びニシベが食ってかかる。
「お前みたいなクズ野郎の話聞いているとこっちが頭おかしくなるんだよクソ野郎。
カザマさんもういいでしょう。」
ニシベがもう1人の男に視線を送る。
「ふむ。サカグチ君。私たちはコーヒーを飲んでくるから少し休憩だ。」
「へーい。」