復讐
第8章 崩壊
第8章 崩壊
遊具の穴の中にいるサカグチは寒さからなのか、体を小刻みに震わせていた。
そしてまた俺自身も体が震えている。
近くに人気は無い。
今なら確実に仕留められる。
「・・・・・ナンデ・・・クル・・イナイ・・・」
サカグチは何やらぶつぶつ呟いているようだ。
「おい。」
「ヒッ!信じてくれカザマちゃん!
おおお俺は騙されたんだ!
思い出してきたんだ!」
何を言ってるんだこいつは。
どうやら報道で出ていた通り、
“誰かにハメられた”
なんて妄想を繰り返しているらしい。
カザマって名前はどこかで聞いたことあるが今はどうでもいい。
こいつは今もう誰が誰だか見分けがつかないぐらい狂ってやがる。
「俺は言う通りにしただけだ!
頼む!捕まえるならあいつも一緒に捕まえてくれ!」
勝手に1人でべらべらと喋り続けている。
落ち着け俺。
今にもぶっ殺したい気分だが返り討ちにあっては洒落にならない。
一旦油断させよう・・・。
「サカグチ安心しろ。
俺は警察の人間じゃない。
警察から逃げ出した君を心配して探していたんだ。」
「そそそそうなのか?」
「とりあえずそこから出てきなよ。
こっちのベンチに座って話そう。」
「おおお前シャブ持ってないか?
何でもいい。いい今すぐくれ!」
サカグチが恐る恐る遊具の穴から出てきてベンチに腰掛ける。
「ちょっと待ってろ。
持ってきてやる。」