復讐



家に帰るとカレンダーの今日の日付に×をつける。



あっという間に月日は流れ、明日がタマダとナガツカの結婚式だ。



指折り数えた日も明日で全て終わる。


タバコに火をつけると明日の準備の確認を行う。



この日の為に大きめのセカンドバックを買った。

ドレスコードでも不自然にならない、なるべく大きいバック。


ここに余計な物は入れない。
入れるのは刃渡りが大きい包丁だけだ。




大勢の人間がいる前で行うことになる。

周りが止めに入る可能性が十分にあるから一発で決めなければならない。



まさか結婚式・披露宴に凶器を持ち込んでいるなんて、式場のスタッフは想像もしないだろう。

手荷物検査がないのは好都合だ。






タバコの火を消すと先ほどまで会っていたナガツカの顔が浮かんだ。


・・・できればナガツカのドレスには血がつかないようにしたいな。

ためらったらダメだが、ナガツカの事を思うと極力あいつの晴れ姿を汚したくは無い。










「・・・・・・」


急に涙が溢れ出てきた。

止まらない、でもまだ涙という感情が俺の中にあってよかった。




楽しかったな。今まで。



どこでおかしくなったんだろう。

何がいけなかったんだろう。

何でこんな事になったんだろう。




溢れる涙と鼻水をティッシュで拭い、


2本目のタバコに火をつけた。





最終章 前編 完

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