復讐
「ふ~うふをこえてゆけ~~!」
「フーフー!!」
気づくとタマダの同僚達による余興が行われていた。
他の皆もそれに合わせて何やら踊っている。
恐らくこれが終わればナガツカの両親への手紙だ。
乾杯以来の酒を一口飲んで高砂の2人を見る。
・・・・サヤ・・・・もうすぐだから・・・
・・あとちょっと待ってろ。
「ここで、新婦マイ様からマイ様のご両親様へ、今日まで育てて頂いた感謝の気持ちを込めたメッセージがございます。
今日の日を迎えるにあたって、いろいろな思いを手紙に託したとのことです。」
ナガツカとタマダが高砂席の前に立つ。
ナガツカは既に泣きそうだ。
「お父さん、お母さん。今日まで・・・・」
ナガツカが手紙を読み始めると、誰にも気づかれないようセカンドバックを少しずつ開ける。
いつでも取り出せるように中だけは開けておこう。
中に入った包丁を最後に視認するとそのままバックを膝の上に置く。
ナガツカは嗚咽混じりに手紙を読み続ける。
マイクを持つタマダも泣いているようだ。
俺の中で緊張が一気に高まる。
あの時、公園でサカグチと対面したときのように。
だけど手の震えはない。
もう覚悟はできている。
ためらうことも無いだろう。