復讐
「これだよ。覚えてるか?」
「・・・何だこれ・・?煙草か?」
「通称“タバコ”。
見た目は煙草に似ているが、
こいつは危険ドラッグだ。
遺書らしきものは見つからなかったが、
代わりにこいつが見つかって俺達の出番ってわけさ。
まさかこれを今の若者が持っているとはって、うちではちょっとした騒ぎだよ。」
「そんなに珍しいヤクなのか?」
「こいつは90年代後半から2000年代前半に爆発的に市場に出回ったヤクだ。
まだ“危険ドラッグ”なんて言葉は無かった頃だよ。」
「・・・そう言われてみれば、だんだん思い出してきた。
確か薬物所持者の検挙数が一気に増えた時だな。私もよく職質で何人か検挙したよ。」
「そう。これを服用していたのは主に30代から50代のサラリーマン。
あの時はこいつのせいで薬物が広く一般人にも出回っちまったって大騒ぎしたもんだ。」
カザマはまじまじとヤマモトのスマホを見る。