青い空の下、僕たちは今も

今日の私たち





二年なんて、あっという間だった


というと、少し嘘になる



「おー、久しぶりだねぇ
よく来てくれた」


「お久しぶりです
よろしくお願いします」


東京有名私大に
一応合格できた私

…動機は不純だけど
まぁ、良しとしてほしい


「そういえば、彼
走り方変えたよ」


「あ、見ました
力強さを加えた感じの」


だいぶタイムも縮んだらしい

それでも、やっぱり綺麗で
あぁ、好きだなって、改めて思う


「そうなんだよ。
フォームを変えるのはすごく渋られてねぇ

あれが妥協ラインだったらしいが」


これには、監督も苦笑いだ


「そうなんですか
そんなにこだわってたんですね」


「何でも、小さい頃に
好きな子が自分の走り方を誉めてくれたみたいでね」


その言葉に、頭の中が鈍く響く


「そう、ですか…」



『速いでしょ、あいつ』

『流石だねー』

『やっぱ速いわ』


お姉ちゃんが言っていた言葉を思い出す



『小さい頃に好きな子が』



知ってる

私は、何を今さら




「羽美」

「…何?」


「…何かあったか?」




二年間、会える時間は少なかったけれど

その中でも、やっぱり愛されてるんだって
そう思わせてくれたのに


なのに、今さら、嫉妬だなんて…


格好悪い



「何でもないよ。
そうだ、何食べたい?」


「羽美」


「…指でもきざんで入れようか」


じとっと睨むと静かに見つめ返される

それが、どこか怖くて目を反らした


「普通に食べたいんだけど」

「ふざけないでよ…」

「だって、そうでもしないとお前
また勘違いしたままだろ」

「え…」

「今度は何に妬いてんの?」


頬に、熱が集まるのがわかる


「…何で、わかったの」

「何年一緒にいると思ってんの。

ずっと妬かれ続けてたから
わかるんだよ」


それすら、気づかれてたのか

これ以上、赤くはなれないというのに
あんたは私をどうする気だ


「ちっちゃい時っ!」


もう、諦めて開き直ると
にやっと笑う

本当に、いつも私で遊んでばかり


「好きな子にフォーム誉められたから
大学入ってもフォーム変えたがらなかったんでしょ!?

陸上が負けた気がして
嫌だったの!!

以上っ!」


そう叫んで見上げると

…耳、赤い


「っ…
そんなの、どっから…」


胸に、何かが刺さった気がした

今でもそんなに照れるほど?


「…そんなに、お姉ちゃんが好き?」

「は?」

「そんなにお姉ちゃんが好きなら
お姉ちゃんと付き合えば良いのに」


また、可愛くない

でも、泣きそうで
上を見れない


「…何で、あいつが出てくんの?」


本当に不思議そうな声で
尋ねられる


「何でって…」

「確かに、好きは好きだけど…

俺、羽美に妬かれるような意味で
あいつのこと好きになったことないんだけど」


「…は?」

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